見過ごされる気持ちのケア〜あなたも元ヤングケアラーかも
こんにちは
今日は、子どもの頃から、家族の気持ちのケアを優先してきた方に向けて、ヤングケアラーという視点から、書いていこうと思います。
1 ヤングケアラーとは
ヤングケアラーということば、聞かれたことありますか?
ヤングケアラーとは
本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと。
具体的には
病気や障がいのある家族の代わりに
買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしていたり
幼いきょうだいの世話をしていたり
病気や障がいのある家族の世話や見守り、看病をしていたり
アルコールやギャンブル問題を抱える家族の対応をしていたり
家計を支えるために働いていたり
日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしていたり
『こども家庭庁のサイト』参照
こんなことが挙げられています。
2 家族だから当然?
ちょっと話がそれますが
福祉の相談員だった頃、こういった家族のケアをしている子どもたちに出会うこともありました。
当時は、今のようにヤングケアラーと言う言葉もなく、ヤングケアラーに対しての支援などもなく、当時の支援者たちとあれこれ策を練っていたことを思い出します。
こどもが家事や家族の世話をすることは、家族なんだから、当然のことなのかもしれないのだけれど
でも、当時の私は、モヤモヤしていました。
それって、当然なの?
家族だからって、なんでもかんでも子どもがしないといけないの?って
勉強したり、部活をしたり、ときにはサボったり、友達と遊んだり、他愛もない話をしたり
こういった、学生時代にしかできないこと、体験できないことが制限されるって、うーんどうなんだろうと思っていました。
そもそも、親に甘えられない、わがまま言えないのって、どうなんだろうと。
もちろん、家族のケアをすることは、悪いことばかりではなく、得られたこと、力になったこと、役に立ってきたことなどもたくさんあるとは思うのです。
でも、やはり、子ども時代に子どもらしく過ごせる人たちが増えていくことを願ってやみません。
3 あなたも元ヤングケアラーなのかも
こういったものを見ると
ここにはピッタリ当てはまらないけど・・・と、なんとなくモヤモヤしている方はいませんか?
直接、誰かの看病や世話ってほどのことはしてきていないし
家事を担ってきたわけではないし
一応学校にも行かせてもらえたし・・・
でも・・・
なんかモヤモヤ・・・
モヤモヤが、年とともに増しているような・・・
こんな風に思っていたり、感じている方は、いませんか?
たとえば
家族の中に病気がちな人がいて
直接、看病や世話をしてはいないし、家事をしてきたわけではない
けれど
寝ているから、邪魔しないように、ひとりで過ごすことが多かった
心配をかけないように、心に負担をかけないようにと
学校で嫌なことがあって話したくても我慢していた
とか
あるいは
病気や障害があったわけではないけれど
カッとなりやすい
なんかいつも不機嫌
感情の起伏の激しい人が家族の中にいて
その人が不機嫌にならないように
常に、家族のことを気にかけたり、顔色をうかがったり
いい子でいようとしたり
その人の機嫌を取るために積極的に関わろうとしてきた
また
強い不安感を持っている人が家族の中にいて
その人の愚痴を聞いたり
大丈夫だよとなだめたり
心配かけないように自分はちゃんとしていようとがんばってきた
こういったことを、子ども時代にされてきていないでしょうか?
これって、家族の心のケア、家族の気持ちのケアをしてきていると言えるのではないでしょうか?
4 モヤモヤの正体って?
モヤモヤの正体ってなんなんでしょう
それは、人それぞれ、モヤモヤの成分は、違ってくると思うのですが
ひとつは、家族の心のケア、気持ちのケアって、目に見えないものですよね。
家族の気持ちのケアを続けてきて、しんどくて、誰かに相談してみたけれど、理解してもらえなかったり
今までのがんばりを認めてもらえなかった、むしろ、否定されたり
こんな体験のときに感じた気持ち・思いなどがモヤモヤとなっているかもしれません。
そんな体験があると、誰にも言えなくなり、ひとりで抱え込んでしまうようにもなりますよね。
外へ出すことができず、モヤモヤをひとり抱え込むことになります。
もうひとつは
あなたが、子ども時代に、家族の気持ちをケアしていたとき
あなたの気持ちのケアは、誰がしてくれていましたか?
例えば
あなたが悲しい気持ちのとき、悲しかったねと受け止めてもらったり
不安なとき、大丈夫だよとなだめてくれたり
落ち込んだときに、励ましてくれたり
新しいことにチャレンジしようとするとき、応援してくれたり
言葉はなくても
笑顔を向けてくれたり
そっと抱きしめてくれたり
背中をさすったり、ポンポンと叩いてくれたり
背中を押してくれたり
こんな風に、あなたの気持ちをケアをしてくれていた大人が周りにいましたか?
もし、子どもの頃、気持ちをケアしてくれたと感じた経験が少なかったとしたら、ケアしてもらいそこねている気持ちや思いたちが、モヤモヤとなってあらわれているのかもしれません。
5 子どもの気持ちのケアは誰がするの?
赤ちゃんは、自分の機嫌を、自分で立て直すことができません。
大人にあやしてもらう、なだめてもらうことで、落ち着いていきます。
大きくなるにつれて、子どもはどんどん新しいことにチャレンジしていきます。
うまくできることもあれば、失敗することもあります。
失敗しても、大人になだめてもらうことで、また、新しいことにチャレンジしていく
そういう体験を繰り返すことで
ひとりでも、気持ちを立て直すこともできるし、誰かに頼ることもできるような大人になっていくと言われています。
本来は、大人が子どもの気持ちをケアをするものなんです。
子どもが大人の気持ちのケアをするのではないです。逆なんです。
といっても
色々な事情で、できないこともありますよね。
ひとつに
大人たちも、子ども時代に、大人の気持ちのケアを優先してきていて、大人から気持ちのケアをしてもらう機会が少なったりすると、自分で気持ちを立て直す力が育っていないことがあります。
だから、自分で自分の感情を抱えることができなくて
本来、向ける先でない家族やモノに、八つ当たりしたり
子どもに愚痴を聞いてもらったり
身近にいる子どもに気持ちのケアをしてもらうということが起こっていたりするのです。
6 モヤモヤ成分が見えてくると・・・
こういったことを聞くと
自分の子どもに、自分の気持ちのケアさせてきてしまったかもしれない・・・
自分の子どもの気持ちのケア、ぜんぜんできていないかも・・・
どこにぶつけたらいいかわからない怒りが湧いてきたり・・・
自分で気持ちを立て直す力がないまま育ってしまった、もう手遅れなの・・・
家族の気持ちのケアをし続けてきた、自分が悪いの?・・・
といった、新たなモヤモヤやザワザワした感じが湧いてくるかもしれませんが
これらも含めたモヤモヤ成分が具体的に見えてくると
では、どうするか、どうしたいかということが見えてくることがあります。
たとえば
今までの自分をねぎらいたい
今の自分をねぎらいたい
今までの自分のことを誰かに話したい
過去の自分と話してみたい
自分の子どもと話したい
自分で自分の気持のケアをしたい
自分で気持ちを立て直せるようになりたい
自分をもっと知りたい
何もしない
他にもあると思います。
自分の中からわいてきた、「〇〇したい!」という思い、気持ちがあれば
何歳からだろうが、どんな状況でも、今この瞬間から、そこへ向かっていくことができると思っています。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。