心のしくみ〜OAD・インテグレイテッド心理学とは

こんにちは

心に優しい身体カウンセリング日和風
佐藤海糸です。

 

朝晩、涼しくなってきましたね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、

癒しのプログラムOAD(Open Awareness Dialogue)とは、インテグレイテッド心理学という心のしくみをベースにした癒しのプログラムです。

日和風でも、このインテグレイテッド心理学でまとめられている「心のしくみ」がセッションの土台のひとつとなっています。

今日は「心のしくみ」、インテグレイテッド心理学について、ご紹介します。

 

1 心のしくみ、インテグレイテッド心理学とは

 

「インテグレイテッド」とは融合、または統合という意味です。インテグレイテッド心理学というのは「悟りの教え」と「心のしくみ」を統合させた心理学です。

心理学の多くは、「わたし」という存在があることが前提となっています。「わたしがあって世界がある」という世界観をベースにした上で、人間の心のしくみを捉えています。

一方、インテグレイテッド心理学では、「分離した自己」は幻想であるという悟りの教えをベースにしています。

「わたし」と「あなた」、「わたし」と「世界」と分離しているという勘違いから生み出された世界観がそもそもの苦しみの根源であると見ています。

インテグレイテッド心理学は、心理学と言っていますが、学問ではありません。

理論や解釈、分析といったものを一切入れず、自然観察のように、人の心の様子をただありのままに深いところまで見ていき、そこから見えてきたものを心のしくみとしてまとめたものになっています。

 

2 インテグレイテッド心理学での投影とは

 

心理学における投影とは

自分の中に無意識に信じているネガティブな自己イメージや感情、思いがあるとき、自分自身を守るため、それを認める代わりに、他の人間のものだと考えてしまう心の働きです。

 

一方、インテグレイテッド心理学においては、投影のことをもっと広い意味でとらえています。

インテグレイテッド心理学においては、私たちそれぞれが、それぞれの思考を通して、モノや人、状況などを解釈すること全てを投影と呼んでいます。

*思考とは、考え、思い、知識、言葉、価値観も、全て同じ意味、思考です。過去の体験やイメージも思考ととらえています。

 

例えば、「箸」を見たとき、どんな思考やイメージが浮かんできますか?

 

「あ、箸だ」

「短いな、女性用かな」

「何の木でできてるんだろう」

「お腹すいたな・・・」

 

お箸を見た時、日本人だったら、大概の方は「箸」だと認識しますよね。

そんなの当たり前じゃん、と言われそうですが、もう少しお付き合いください。

なぜ認識できるのかというと、「箸」と教えられたからですね。

小さい頃に、これは「お箸」っていうんだよと、親など周りの人に教えられたからです。

これはお箸と言うんだと知ってからは、2本の細い棒は「お箸」になります。

 

名前だけでなく、箸の持ち方や使い方、役割も教えられます。

箸はこうやって使うものと知ると、それが自分の中で正しい使い方となります。

 

また

「食べ物を刺したらいけないよ」

「箸でお皿を動かしたらダメよ」

など、しない方がいい使い方も教えられます。

 

そうすると

「箸で刺してはいけない」

「寄せ箸はいけない」

という思考も自分の中に身につけていきます。

 

このように、わたしたちは、生まれてからずっと、箸の名前や使い方と言った知識だけでなく、さまざまな思考を自分に身につけていきます。

 

3 苦しみを生む投影とは

 

こんなことも、自分の思考として身につけていくことがあります。

 

例えば

子どものころ、食事のたびに、正しい箸の使い方ができていないと、お母さんに注意され続けていました。注意されるとき、手を叩かれることもありました。

 

すると

「箸はきちんと使わなくちゃ!」

と強く思うようになるかもしれません。

 

また、何度も注意されているうちに

 

「なんで、言われたことができないんだろう」

「自分はバカなんだろうか」

 

などと思うようになるかもしれません。

 

注意されないようにすることばかりに気をとらえて、本当は楽しいはずの食事の時間が、緊張の時間となっていたかもしれません。

 

緊張しているので、身体もぎゅっと固くなっていたかもしれません。

 

緊張感だけではなく、悔しかったり、悲しかったり、無力感などネガティブな感情を抱いていたかもしれません。

 

このような体験があると

箸という名前や箸の使い方という知識だけでなく

 

「箸はきちんと使わないといけない」

「言われたことができない自分」

「自分はバカだ」

 

といった

 

「〇〇すべき」「〇〇ねばならない」と言った思考

ネガティブな自己イメージ

 

なども、自分の思考として身につけていくことがあります。

 

このような思考を通して、モノや人、状況を見ていたら、どうなるでしょう

 

もしかしたら

たまたま入ったレストランで、箸の持ち方など気にも留めずに、一緒にいる人たちとワイワイおしゃべりしながら楽しく食事をしている人に目がとまり、気になって仕方がない。

何とも言えない、不快な気持ちが湧いてきた。

 

ですとか

 

自分の子どもが、箸をきちんと使っていないときに、反射的に、手を叩いてしまう。

 

なんていうことがあるかもしれません。

 

4 苦しみを生む投影から抜け出すためには

 

このように私たちは、今まで生きていく中で、生きてきた環境の中で、さまざまなことを学んで、思考を身につけてきています。

身につけてきた思考の中には、生きていく上で、役に立っている思考もあれば、今となっては必要なくなっている思考、今を生きづらくさせている思考、さまざまな思考が存在しています。

心理カウンセリングやセラピーでは、今となっては必要のない思考、生きづらくさせている思考に焦点を当てて、思考を変えたり、感情を解放することで、今の生きづらさを解消していこうとしています。

つまり、苦しみを生む投影の元になっている思考を変化変容させることで、苦しい投影から楽な投影に変えていこうとしていくものです。

 

OADでも同じことをおこなっていくのですが、全く別の角度から、苦しみから抜け出す方法も提案しています。

 

それは

投影の世界から、解釈のない世界があることに気づいていくことで、苦しい投影から抜け出すという方法です。

 

自分の思考を通して全て解釈している投影の世界から抜け出すために

自分の投影に気づくこと

そして

投影のない世界から世界を見ること

をしていくのです。

 

投影のない世界とは

 

いっさい解釈のない世界です。

いっさい思考のない世界とも言えます。

 

それは、静かで、清らかで、平和な世界です。

 

箸も

わたしも

 

ただそのまま存在している

ただそのまま存在していていい

 

こんなことを頭でなく、経験として実感するような体験をすることもあります。

そもそも、投影のない世界が、本来の姿であり、誰もがそのまま存在していたいいなのだという視点をベースにして、セッションを行っているのです。

 

5 生きづらい、苦しいと感じるのは、あなたのせいではありません

 

インテグレイテッド心理学を初めて学んだとき、よくわからなかったのですが、ただ、とても楽になったのを今でも覚えています。

私は、悟りとか、スピリチュアルなことなどには、あまり興味がなかったので、悟りの教えとか、分離した自己は幻想であるとか言われても

???

よくわかりませんでした。

今でもスピリチュアルなことはよくわかりません。。。

 

でも

 

「わたし」と「あなた」、「わたし」と「世界」と分離しているという勘違いから生み出された世界観がそもそもの苦しみの根源である

 

と聞いたとき

 

「わたし、個人が悪いんじゃないんだ」

 

って思えたんです。

 

苦しみを生むのは、勘違いの世界観だったり、自我(わたし)のしくみのせいであって、個人の問題じゃないんだ

とわかり、知っただけでも楽になったんです。

 

さらに

投影というのは、生まれて(胎児)からずっと、自分が育ってきた環境の中で、さまざまな経験を通して身につけていった思考を通して解釈していることなのですが

 

その思考というのは

よーく見ていくと、

思考自体を作り出しているのは、わたしそのものではないんです。

勝手にでてくるものなんです。

ネガティブ思考ばかり浮かんでしまうのも、自分のせいではないんです。

 

心のしくみがわかってくると、しくみがそうさせているんだということがよくわかってきます。

そうすると

自分を責める気持ちが減ったり

どうにかしようと頑張ってきたエネルギーを別のことに使うことができます。

 

心のしくみだけではありません。

心や身体が傷ついた体験をした時の自律神経系や脳など、身体のしくみについても、同様です。

しくみを知って、自分は悪くなかったんだと言った感想を持たれる方が多いです。

 

今日は、日和風のセッションの土台のひとつである、心のしくみについて、簡単ではありますが、ご紹介いたしました。

 

ではまた

 

心に優しい身体カウンセリング日和風
佐藤海糸でした。